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「オリジナル小説」
ななしのアルーシャ

ななしのアルーシャ 07. 密命

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ななしのアルーシャ_表紙
 
「あの、どういうことですか?」
 無礼を承知であたしは声を絞り出すように質問した。だってそうでしょ。シルジア王の跡継ぎを探すって意味が分からない。
 確かに現在陛下には子供はいないし、十年前にお妃様がお隠れあそばれてから妃を迎えてもいない。今すぐ御子を授かるってことはないだろうけど、それなら「探す」という言葉にはならないと思う。
 それともお妃様候補を探せ、って事だろうか。でもそれならあたしの出る幕なんてないよね。おふれを出すだけで貴石族のお偉方がこぞって打診してくるよ。
 陛下は頷き、疲れたように玉座の背もたれに体を預けた。
 リラックスして聞けって事かな? ヴィリー先輩も少し姿勢を崩している。とはいってもあたしにはそんな余裕はなかったから、礼儀を保ったまま陛下の言葉を待った。
「王位の継承は特殊でな」
 陛下は自身の王冠を脱ぎ膝の上に置いた。装飾がほとんどない銀色の王冠には、華やかさを補ってあまりある大きな宝石が一つ留められている。
 真命石、ダイヤモンド。
 硬度は次点のサファイアやルビーを遥かにしのぎ、光の反射率の高さ故に放つ豊かな輝きは他の追随を許さぬ美しさを誇り、そしてこの世界でたった一つしかない真命石。
 思い出しちゃうなぁ。伝説の女傑、シルジア12世陛下は愛用する剣の柄にダイヤを留めていたそうだ。振るう剣閃にそって真命石の輝きが星のごとく散る。物語の中で、若き吟遊詩人が12世陛下を讃えるシーンがステキだった。
「ダイヤを真命とする者は、この世でシルジアただ一人」
 16世陛下が本にあった一節を呟いた。う、また顔に出ていたかなぁ。
 あたしの戸惑う姿を眺め微笑んだ後、陛下はゆっくりと話しだした。
「皆が知っての通り、ダイヤモンドを真命石とする者はシルジア王のみ。今でいうなら余だけだ。しかしよく考えてみよ。それは少々おかしくないか?」
 おかしい? なにが変だというのだろう。あたしは定期試験で引っ掛け問題を前にした時のように首を傾げた。
「大抵の場合、親子の真命石はよく似ている。水晶を持つ者の子は、色は違うかもしれぬが水晶であることが多いし、違ったとしても同じ石英族である可能性が高い」
 それは陛下のおっしゃる通り。水晶を真命石とする親からは同じ水晶やアメジスト、シトリンなど色違いの水晶、またはカルセドニーやカーネリアン、アゲートなど関連性が高い真命石を握って産まれる者が多い。
 まったく違う石を持つ者もいるけれど、本当に稀。だから出自がはっきりしないのにエメラルドを持っていたあたしはアカデミーでからかわれた。捨てられた理由も、あまりにも真命石が違いすぎたからかもしれないって言われたこともある。エメラルドを持つ人なら大抵社会的地位も高いから、同じ石を真命石とする子供を捨てるなんてあり得ないもんね。まぁ、あたしの場合は当てはまらないけど。
 でも、そんな常識、今更だよね。……って、あれ? そうすると。
 やっぱり疑問がすぐ顔に出たらしい。見上げたら陛下が満足そうに頷いていた。
「あの、もし陛下に御子がいらっしゃったとしたら、真命石は……」
「そうだ。何の石になるか分からぬが、ダイヤモンドだけは絶対にない」
 陛下は少しも隠さずに断言なさった。
 そうか、そうなるよね。ダイヤモンドを真命石とする者はこの世でたった一人だけ。陛下がいらっしゃる限り、ダイヤを持って産まれる者はいない。
 だとすると、王位の継承ってどうなるの?
 恐れ多くも陛下がお亡くなりになって初めてダイヤの主が産まれてくるのだとしたら、その間少なくとも数年は王位が空白になってしまう。でもあたしが歴史の授業で習った限りにおいて、そんな出来事はなかった。
「シルジア王は代々長命で、王位に就いた時周りにいた者は必ず王より先に逝く。まして王位継承の詳細は一部の者にしか知らされぬ。故に、現在知る者は余と余が教えた側近のみだ」
 陛下の言葉が朗々と続く。
 なんだかすごい事になってきた。あたしはいったい何に巻き込まれようとしているのだろう。
「ダイヤモンドは持って産まれる真命石ではない。今、余が持っているダイヤも受け継いだものだ。余の本来の真命石はスピネルであった」
 王冠を手にしてダイヤを指し示す陛下の表情は、複雑でよく分からなかった。誇り高いようでいて、どこか自嘲の陰りもあって、その上で超然としている感じ、というのが近いかな。
 そして陛下はあたしの知っている常識を覆す、とどめの一言をおっしゃった。
「シルジア王はダイヤモンドが選ぶ。しかも失石者の中から」
 失石者! その単語を聞いた時、なんだか話が繋がったように思った。
「余も先代もそうであった。相応しい魂に成長したが故に今までの石を失った者。その者とダイヤモンドが引き合って、魂結ばれてシルジア王となる」
 だから、王国は失石者を管理下に置くんだ。次代の王がいるかもしれないから。確保と保護を目的として、失石者を登録していく。もちろん実際に管理している人達はそんな事情は知らないんだろう。王宮のさらに上位にいる王の側近だけが把握している事実。
 あっけにとられて、ずいぶんと間抜けな顔をさらしてしまったんだと思う。ずっと口を挟まなかったヴィリー先輩が、かすかに苦笑を浮かべながら言った。
「実はアルーシャ。お前も候補者の一人だった」
「はい?」
 またまた爆弾発言。でも変じゃない? あたしの石が割れたのは昨日の話なんですけど。
「さっき説明した通り、3年前の偽石事件以降、鑑定の専門家が密かにアカデミーの学生をチェックしていた。そこでお前の名が挙がっていてな」
「え、偽石使いとして、ですか」
「いや、真命石の反応に少々違和感がある。もしかすると変石するかもしれない、と」
 なるほど。だからヴィリー先輩は昨日あたしを信じてくれたんだ。ちゃんと根拠があったんだ。
 ちょっとだけがっかりする。あたし個人を信じてくれたんじゃなかったのかぁ。そうだよね、リズベスと親友だからあたしともよくしゃべってくれたけど、そもそもそんな信頼関係が出来るほど仲が良かったわけじゃないもの。分かってたよ。うん、ホントに。
「正確には今でも候補者だ。半失石者である以上、今後ダイヤモンドに選ばれる可能性も捨てきれない」
 う、ヴィリー先輩の目が真剣だ。特例失石者として自由を保障すると言っていたけど、話半分に聞いておいた方がよさそう。エメラルドの半分はあちらで管理するんだし、泳がせて様子を見るって感じかな。あ、密命を受けたら報告義務がつくだろうから、多少自由にさせても問題ないってことか。
 あたしがちょっとだけ考えに沈むと、陛下がまた面白そうにおっしゃった。
「余の知る限りでは、そなたのような例はない。本当にダイヤを継ぐ者だとしたら興味深いが微妙だな。今、余が期待しているのは、半失石状態であるそなただ」
「候補者を探すのに都合が良いとおっしゃるのですか」
 なんとなく自分の状況が飲み込めてきたあたしに、再び頷く陛下。
「理解が早いな。そうだ。失石者は複雑な心境にある者が多いし、社会的な圧迫や国の監視下に置かれているせいもあって警戒心も高い。かといって、同じ失石者に調査をまかせるのでは少々都合が悪い」
 社会は真命石をもとにして動いている。失石者にとっては、保護も同情も哀れみも蔑みも同じ。一言でいえば孤独よ。社会と繋がっていないという疎外感は想像以上だもの。だから必死で真命石を探そうとする。
 そんな失石者に王の後継者を捜せなんて言われて素直に従うはずがないよね。下手すれば、自分こそ後継者だと王宮に殺到する可能性だってある。ダイヤ以上の真命石はないのだから。
「そこでちょうど中間に位置するそなたの存在が貴重になる。同じ失石者として彼らの中に入り、候補となりうる人物を探し保護してほしい。いざとなれば術が使えるそなたならできよう。もちろん国から補佐をつけるし、援助も惜しまぬ」
 陛下の言葉に、あたしはさらに考え込んだ。
 確かにあたしはある一面で適任かもしれない。失石者は石を捜す為に亜人の国にも足を伸ばすという。友好的な一族ばかりではないから、戦いに巻き込まれることもあるだろう。真命石の力なしでは、生きて帰るのも難しい。
 あたしなら。今後どうなるか分からないけれど、今のあたしなら必要な時にエメラルドを使える。なぜ使えるのかはとりあえず横において、自分と周りの人を守る力を持っている。
 しかもあたし自身、本物の真命石を探さなくてはいけないから、どうしたって失石者と関わることになるんだよね。なら、この密命受けても問題ないように思う。
 ただ、ちょっとだけ気になることがあった。
「陛下、お尋ねしても構いませんか?」
「なにか」
「なぜ急がれますか。今まで私のような者がいなくても王位はつつがなく継承されて参りました。今、ことさら私を使い探されなくても、いずれ必ず次代の王は現れましょう」
 あたしの質問に、陛下は瞬きをして少しの間、口をつぐんだ。
 聞いてもいい質問なのか迷ったけど、疑問だったんだ。陛下はあたしのような半失石者は今まで例がない、と言った。つまり過去、王位候補者を捜すのにあたしみたいな半端者は別に必要なかったってことだ。
 普通に王位継承者は見つかるはず。ダイヤモンドが選ぶというなら、ダイヤを使って遠視の術を使えば一発で見つけられるんじゃないの。
「アルーシャ、そなたは聡いな」
「陛下、だから申し上げたでしょう」
「うむ、ヴィリー。確かにな」
 なんだろうこの雰囲気。例えるなら、いたずらっ子が先生に悪戯しかけようとして、先に見つかってしまったって感じ。先輩、なんとなく疲れた顔してるし。陛下、あさっての方を向いてなにやら口笛ふいてるし。
 うん。イヤなっていうか、とても下らない予感しかしないよ。
「あー、アルーシャ。陛下はな、別に急いでもいるわけでも、事情があるわけでもない」
「え、どういうことですか、先輩」
「親衛隊の名誉がかかっているので、あまり直接的な言い方は好ましくないのだが。まぁ、はっきりいって思いつきだ」
 あ、予感的中。なんですか。思いつきっておっしゃいましたか。
「……え、と。ようするに、ただやってみようと思っただけ、と」
「いつも威厳を保っていらっしゃるから、直近の者しか知らないがな。政治や戦に関してならいざ知らず、個人としての陛下はああ見えて結構いきあたりばったりだ」
「待て待て、ヴィリー。それは言い過ぎであろう。余とて将来の事を考えて、打てる手は打っておこうとしたまで。確かにアルーシャのような存在を予想していたわけではないから、思いつきといえば思いつきだがな。悪い思いつきではなかろう!」
 陛下が王冠を指で回しながら、悪態をついている。
 えっと、悪態をついている時点で素が出てますよ、陛下。威光も迫力もありません。あと、いくら世界最硬度の真命石とは言っても、遊ばないで下さい。失石者の前でそんな行為をするなんて、完全にご自身が失石者だった時のお気持ちお忘れですね。
「……と、陛下はおっしゃっているが、まぁ確かに有効な手段だとは思うし、アルーシャにとっても利こそあれ損は無いと俺は考えている。どうだ、陛下に恩を売るチャンスだと思ってみては」
「……そうですね。なんだかものすごく重い理由があるのかと構えていたあたしが愚かでした。この際、せいぜい高く恩を買っていただいて、今後の蓄えに致します」
「そなたたち、そういう事は退室してから陰で言え。まぁ、その方が余も気楽だが」
 ため息をついて嘆くふりをして、面白そうな笑顔を浮かべている陛下。ホントになんていうか、力が抜けた。シルジア王への畏怖の念とか吹っ飛びました。
 ヴィリー先輩の言う通り、あたしに損は無い。むしろ思った以上にいい条件だ。これから何が起こるか分からないし、あたしの立場も微妙なんだから、この密命を活かさない手はないよ。
 あたしは決心した。陛下、御下命しかと承ります。
 真命石探しのついでに!
 
【続く】


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~ Comment ~

こちらでははじめまして。

こんにちは!Twitterではいつもお世話になっております、長谷川です。
『ななしのアルーシャ』、いつも楽しく拝読しております。以前Twitterの方でチラッとだけお伝えしましたが、もう設定とか世界観がツボでツボで!
昨今、ネット上でここまで設定が練られていてなおかつ読みやすい小説と出会える機会というのがなかなかないので、最初にお邪魔したときは本当に感動しました。以来ずっとこちらの作品のファンです(笑)

一番ぐっと来たのはやっぱり真命石の設定。実は私、日頃からパワーストーンを集めるのが好きで色んな石を揃えてるんですが、こちらの作品を読んでると、ストーンショップに行って石を眺めているときのワクワクが甦ってきてとにかく楽しいです(と言ってもエメラルドやサファイアみたいな本物の宝石にはとても手が出ないのですが……笑)
この世界の人々はみんな魂の石を持って生まれてくるという設定、親石族、失石者などなど、とにかくこの真命石にまつわる設定がとても面白くて、読んでいると心が躍ります!そんな世界で突然アルーシャが真命石を失ってしまったところから始まる物語も、あちこちに緊迫したシーンや謎がちりばめられていて、いつも楽しく拝読しています。

あととてもマニアックな感想ですが、今のところアルーシャのモノローグにのみ登場しているシルジア12世陛下の設定がとんでもなく好きです。アルーシャが子供の頃に読んだという12世陛下の英雄譚を私も読みたい……!(笑)

とにかくいつも更新される度にワクワクしながら読んでいます。現王の密命を受けたアルーシャがこれからどんな旅に出るのか、今からとても楽しみです!
これからも引き続き応援しております。
阿都さんも色々とお忙しそうですが、お体にはくれぐれもお気をつけて、今後も連載頑張って下さい!

それでは、乱文失礼しました。

ご感想ありがとうございます!

長谷川さま、いらっしゃいませ!
こちらこそTwitterでは本当にお世話になっております。
ご感想いただけるなんて、ありがとうございます。感謝感激です!

> 『ななしのアルーシャ』、いつも楽しく拝読しております。以前Twitterの方でチラッとだけお伝えしましたが、もう設定とか世界観がツボでツボで!

世界観や設定は私の趣味が出まくってますので、受け入れていただけるだけでもありがたいのですが、気に入っていただけたのでしたらもう本当に嬉しいです!
……ファンとかお褒めの言葉が過分にすぎて、こちらが頭が下がります。ありがとうございます。

> 一番ぐっと来たのはやっぱり真命石の設定。実は私、日頃からパワーストーンを集めるのが好きで色んな石を揃えてるんですが、こちらの作品を読んでると、ストーンショップに行って石を眺めているときのワクワクが甦ってきてとにかく楽しいです

ああ! そうでしたかー!
私もパワーストーンとか天然石が好きで、ちょっとですが集めていたりします。同志ですね!(笑)
物語上分かりやすく有名な宝石を出しましたが、私としてはアイオライトとかムーンストーンとかラブラドライトとかいろいろ好きなのでいつか出したいです。

> この世界の人々はみんな魂の石を持って生まれてくるという設定、親石族、失石者などなど、とにかくこの真命石にまつわる設定がとても面白くて、読んでいると心が躍ります!

まだまだプロローグ的な部分で、アルーシャもこれからもっと冒険させるつもりですけれど、途中で飽きてしまわれないように頑張って書きますね。
特に設定とか伏線とか、実はちょっと苦手なので心して取り組みます!

> あととてもマニアックな感想ですが、今のところアルーシャのモノローグにのみ登場しているシルジア12世陛下の設定がとんでもなく好きです。アルーシャが子供の頃に読んだという12世陛下の英雄譚を私も読みたい……!(笑)

そこですか!(笑)
本編がある程度進んだら、外伝で書けたら書いてみたいですね。
多分、アルーシャよりも英雄伝説的な冒険譚になると思います。12世はもろに英雄気質設定ですので。

> とにかくいつも更新される度にワクワクしながら読んでいます。現王の密命を受けたアルーシャがこれからどんな旅に出るのか、今からとても楽しみです!

お言葉ありがとうございます。励みになります!
私は筆が遅い方なので、これからは更新が遅くなってしまいそうなのですが、少しでも隙を見つけて書いていきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

長谷川さまも、お忙しいご様子。
どうかお身体にはお気をつけて、執筆頑張って下さい。
私もなんとか時間を見つけて感想を届けに伺いますね!

それでは、あらためてご感想ありがとうございました。
これからもどうぞおつきあい下さいませ。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
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